CONTAX RTS, D21f2.8, RSX50
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ここで少し変わったたとえをすると、「星の王子様」を読むということは私のホームページでテーマにしている"空を飛ぶこと"に似ているかもしれません。
王子様がたずねて歩いた星々にはとても小さいところであくせくと暮らしている大人たちがいました。
では彼らのいた「星」とはなんでしょう?
その答えを「人間の土地(1939)」の序文から捜してみましょう。
「ぼくはアルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行の晩の景観を、いま目の当たりに見る心地がする。それは、星かげのように、平野のそこここに、ともしびばかりが輝く暗夜だった。(中略)
あの一軒では読書したり、思索したり、打ち明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたりアンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。(中略)
しかしまた他方、これらの生きた星々のあいだにまじって。閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんとおびただしく存在することだろう・・・・・。」
(新潮社刊:堀口大学訳)
空を飛ぶとき、ふと下をみると私がいたあの世界はなんて小さいのだろう、そこでなんと大きな悩みを持っていたのだろう、と感銘を受けることもあります。おなじ飛行機好きとしてぼくはサンテクジュペリはこうした感情を文字にしたかったんだと思います。 |