サンテクジュペリと星の王子様とミュージアム
今年(2000年)はサンテクジュペリ生誕100年に当たると言います。
あるフランスの新聞の一般投票によるとフランス人の選ぶ今千年紀における文学の一番は「星の王子様」だそうです。ほぼ46パーセントの得票率で第二位の「老人と海」の約25パーセントを大きく引き離しているほどです。
またフランスでは作者のサンテクジュペリといっしょに星の王子様は紙幣にも採用されているほどの人気ぶりです。

ところでサンテクジュペリは一般には「星の王子様」の作者として知られていますが、航空機の歴史に興味があるものにとってはギヨメやメルモースらとともにラテコエール(エールフランスにのちに吸収された戦前の航空会社)三羽烏ともいわれた有名なパイロットであり、冒険飛行家としても知られています。

星の王子様は、その冒険飛行のひとつにおいて彼がリビア砂漠に墜落したときのエピソードにヒントをえて書かれました。その他の作品には童話ではなく「南方郵便機」「夜間飛行」「人間の土地」「戦う操縦士」などがあります。どれも彼の実体験をもとにしてかかれたもので航空文学の金字塔となっています。


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CONTAX RTS, D35f1.4, RSX50
(点燈夫の像:以下写真は箱根ミュージアムから)

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CONTAX RTS, D21f2.8, RSX50

 

ここで少し変わったたとえをすると、「星の王子様」を読むということは私のホームページでテーマにしている"空を飛ぶこと"に似ているかもしれません。

王子様がたずねて歩いた星々にはとても小さいところであくせくと暮らしている大人たちがいました。
では彼らのいた「星」とはなんでしょう?
その答えを「人間の土地(1939)」の序文から捜してみましょう。

「ぼくはアルゼンチンにおける自分の最初の夜間飛行の晩の景観を、いま目の当たりに見る心地がする。それは、星かげのように、平野のそこここに、ともしびばかりが輝く暗夜だった。(中略)
あの一軒では読書したり、思索したり、打ち明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたりアンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。(中略)
しかしまた他方、これらの生きた星々のあいだにまじって。閉ざされた窓々、消えた星々、眠る人々がなんとおびただしく存在することだろう・・・・・。」

(新潮社刊:堀口大学訳)

空を飛ぶとき、ふと下をみると私がいたあの世界はなんて小さいのだろう、そこでなんと大きな悩みを持っていたのだろう、と感銘を受けることもあります。おなじ飛行機好きとしてぼくはサンテクジュペリはこうした感情を文字にしたかったんだと思います。



第二次大戦も終盤の1944年、サンテクジュペリは飛行規程を10歳以上オーバーする年齢であり、またすでに有名な作家であったため周囲は戦闘飛行を禁止していたのです。
しかし、彼は愛国の情熱と飛行への情熱を忘れられず、当時の高性能機P38ライトニングを駆って偵察飛行へと飛び立ち、そのまま帰りませんでした。。。

第一次大戦のとき、傷ついた敵を見逃すと言う紳士的な戦いぶりで民衆に人気のあったジョルジュ・ギヌメールというフランスのエースパイロットがいました。しかし、あるとき彼も激烈な戦いのさなかついに帰ってきませんでした。

次の日のフランスの新聞はこう書いたといいます。

「ギヌメールはあまりにも高く空に昇りすぎて降りてこれなくなった」


たぶんサンテクジュペリもそうだったのでしょう。

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CONTAX RTS, P100f2, RSX50, SofterII

箱根サン=テクジュペリ・星の王子様ミュージアム

「星の王子様」は日本でも人気文学であることに変わりはなく、すばらしいミュージアムがありそれをここで紹介します。
ミュージアムは箱根の仙石原に位置していて、ちょうどガラスの森や湿生花園の近くです。
ホームページはhttp://LePetitPrince.comですので詳しくはそちらを参照してください。

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FujiFilm FinePix4700Z

内部は外周部分に彼のいたフランスのプロヴァンス風の町並みがディスプレイされ、カフェやレストランもあります。また建物の中には博物館があり、これは年代順に彼の足跡をしるしたもので最後には星の王子様の世界からの美しいディスプレイがあります。
他にもショーホールや教会などもあります。

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